トップへ                         植物栽培用光源                植物工場研究所

 植物工場で、植物栽培にふさわしい光源の選択は、植物がいかに効率よくエネルギーとして光を吸収するか、そして、運用経費を施設全体でみて安くできるかにかかっています。植物が利用する光は主として可視光線ですが、光の色(波長)によって植物の成長に与える効果が異なっています。下の図には単位エネルギー当りの効果を相対的に示してみました。

 経費の中で、電力代と償却費が20〜30%に達し、光源の選択は重要な位置を占めています。最近、安価な蛍光灯、発光ダイオード(LED)が有力視されるようになってきました。

 植物は光合成(@)で成長しますが、それ以外に光形態形成(A〜C)が重要な光反応です。光形態形成とは種子発芽、花芽分化、開花、子葉の展開、葉緑素合成、節間伸長などの植物の質的な変化を指し、これには弱光反応(B、C)強光反応(A)があり、フィトクロームという色素の働きを介して誘起されます。また、強光下における葉緑素合成は青色光によって促進され、赤色光によって阻害される傾向があります。

 結局、光合成に対しては640〜690nmの赤色光の効果がもっとも大きく、葉の正常な形態形成には420〜470nmの青色光が必要とされます。植物種や成長段階に応じて、赤色光と青色光の最適な割合(R/B比)があると考えられます。

半導体光源の登場

 最近の半導体技術の発展から、発光ダイオード(LED, Light Emitting Diode)、半導体レーザー(LD、Laser Diode)が、植物栽培の光源としての可能性が高まってきました。従来からよく使われている高圧ナトリウムランプなどの光源は赤色光と青色光のスペクトルバランスが悪く、また多量の熱放射が空調負荷を大きくし、植物との距離を十分にとる必要があるために、施設が大型化する欠点があります。すなわち、光源の発光スペクトルをどのように設計するかが重要なことなのです。

 蛍光灯はなんといっても安価で取扱が簡単ではあるが、LEDには蛍光灯にはない利点があります。LEDの色は、現在、工業的に使われている赤色(660nm)と青色(450nm近辺)が使え、これがちょうど植物の葉緑素であるクロロフィルの吸収ピークにほぼ一致しています。これは偶然のようにみえて、これからの植物工場の発展を示唆しているといえましよう。現在、青色LDが次世代光ディスク(BDやAODなど)の大容量化に発展しつつありますが、LDとはLEDの光をコヒーレント化(位相を揃えた発振光にする)したもので、青色LDの発展はまた、青色LEDの発展にもつながっているのです。このように他の工業製品の発展と結びつくことが信頼性の向上や、コスト低減にもつながるものです。

 植物は基本的に光合成によって生育しますが、従来の光合成の研究や実際の栽培場面はほとんど連続照射下で行われてきました。ところで光合成の反応経路を子細に見ると、その中には光を当てる必要のない部分があることがわかります。光合成において光を必要としない時間には光を当てず、光を必要とする時間だけ光を当てるようなパルス照射を行えば、単位光量当たりの光合成速度を増大させることができます。このことは完全制御型のような光の電力コストが問題になるシステムではとても大切で、これによって2〜3割の省エネが達成できますので、植物工場の普及に貢献すると考えられます。

赤色LEDだけでレタスが栽培できる例を下の写真で示します。また、最近、光の三原色の赤、青、緑色のLEDを用いた太陽光と類似の白色光が得られる白色LEDを用いてレタスを栽培している様子を下の写真に示します。既に、LEDを光源とする植物工場も立派に稼動しています。また、LEDによる栽培は生きたインテリアとしての利用も考えられます。

 

          

 

 

 

 

光源の発光スペクトル

クロロフィルの吸収ピーク

成長率

光合成速度

パルス照射

インテリア

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